任意整理は、裁判所を利用することなく、各債権者との間で任意交渉して和解を成立させる手続です。
返済の条件については、相手方となる債権者に同意・承諾をしてもらう必要があり、こちらが希望する条件で、債権者が和解に応じてくれるとは限りません。
どのような内容の和解に応じてもらえるかについては、相手方とする債権者がどこの会社か、借入期間はどの程度か等の具体的な状況によって様々です。
その中でも、相手方とする債権者がどこの会社かによって、ある程度の傾向があるため、任意整理を行う場合には、その傾向について確認しておく必要があります。
今回は、任意整理において、頻繁に相手方となる大手消費者金融アコム株式会社について、任意整理を行う場合の傾向をご説明いたします。
なお、同じ相手方であっても、昔と今では傾向が異なり、最近も傾向に移り変わりがありますので、実際に債務整理を行おうとする時点では、今回のご説明とは傾向が変わっている可能性もあります。今回のご説明については、あくまでも目安としていただき、実際に任意整理を行おうとする場合には、弁護士に直接ご相談いただければと存じます。
1 分割の回数
基本的に、取引期間に応じて応じられる分割の期間も変わってくるようです。
取引期間が3年程度であれば、分割の期間も3年(36回)程度、取引期間が4年程度であれば分割の期間も4年(48回)程度まで応じてもらえるようです。
以前は、5年(60回払い)を超える分割に応じてもらえることもありましたが、現在ではほとんど応じて貰えません。
直近の事案でもかなり粘り強く事情を説明しましたが、会社の方針として、60回が限度で、それを超える分割には応じていないようでした。
借入額が少ない、取引期間が短いなどの事情によっては、3年より短くなる可能性もあります。
直近の事案では、取引期間約1年半に対して、当初2年(24回)払いを求められましたが、最終的に3年(36回)払いで合意しました。
2 経過利息・遅延損害金(和解までにかかった利息等)
原則としてカットしてもらえません。
3 将来利息(和解後、完済までにかかる利息)
多くの場合、将来利息のカットに応じてもらえます。
取引期間が短い、長期間の延滞があるなどの事情によっては、将来利息を求められる可能性があります。
4 その他
直近の事案では、収入支出の状況、自宅・携帯の電話番号、勤務先名称・連絡先・雇用形態の開示を求められました。
また、直近の事案では、支払い開始について、合意成立から3か月後まで待ってもらえました。支払い開始が合意から3ヶ月を超えるようだとその時点では合意できないようでした。