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免責不許可事由10 過去の免責許可決定2022-11-20 20:00

カテゴリ: 自己破産

 自己破産を検討されている方は、借金の負担から解放され、今後の生活の立て直しを図ることを一番の目的とされていると思います。

 個人の方が自己破産をする最大の目的は借金を免除してもらうことにあるはずです。自己破産をすると、借金(債務)について支払いの責任を免除してもらうことができます。このことを免責といいます。

 厳密には、破産手続と免責手続は別の手続ではありますが、自己破産を検討している方は基本的には両方の手続を行うことを希望されているはずです。

 しかし、自己破産の手続をしたからといって、必ず免責されるわけではありません。

 「免責不許可事由」がある場合には、裁判所に免責を許可してもらうことができないことがあります。

 自己破産をしても免責を受けることができなければ、意味がありませんので、自己破産をするにあたっては免責不許可事由があるかどうかを検討しておく必要があります。

 今回は、「免責不許可事由」の一つである、過去の免責許可決定(破産法第252条第1項第10号)について解説します。

1 破産法の規定

 破産法第252条第1項第10号では、免責不許可事由として以下の通り定めています。

 「次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において,それぞれイからハまでに定める日から7年以内に免責許可の申立てがあったこと。

 イ 免責許可の決定が確定したこと  当該免責許可の決定の確定の日

 ロ 民事再生法 (平成11年法律第225号)第239条第1項 に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと  当該再生計画認可の決定の確定の日

 ハ 民事再生法第235条第1項(同法第244条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと  当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日」

 これは、一度免責を受けたり、それに類似するような法律上の保護を受けたことがある場合で、それが7年以内に為されたものである場合には、原則として免責は認めないということです。

2 免責不許可事由とされている理由

 一度、免責許可決定等によって救済を受けることができたにもかかわらず、経済的な再生をすることができなかった人に対して、再び、免責許可等の救済を与えることは好ましくないと考えられることから、免責不許可事由とされています。

 借りては破産して免責を受け、また借りては破産して免責を受けるということを許していれば、どうせまた破産すればよいだけだと思って、安易に借金をするようになってしまう恐れがありますので、無制限に免責が認められるべきではありません。

 そうはいっても、一律に、いつまでも、二回目の免責は許さないというのも厳しすぎるので、7年以内のものが対象になっています。

3 免責許可決定の確定等について

 この免責不許可事由の対象になるのは、「免責許可の決定が確定したこと」「給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと」「民事再生法第235条第1項(同法第244条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと」です。

 「免責許可の決定が確定したこと」に関しては、過去にも破産手続きを行い、破産手続きにおける免責許可決定を受け、その決定が確定したことがあるということです。

 免責許可決定の日から概ね2週間後くらいに,官報に免責許可決定がされたことが公告されます。債権者等の不服申し立てがされないまま公告日の翌日から2週間を経過すると,免責許可決定が確定します。

 その確定の日から7年以内に免責の申立てがあった場合には、この免責不許可事由に該当することになります。

 また、過去に給与所得者再生をしてその再生計画が認可されて再生計画を遂行したことがあった場合,免責許可の申立ての日から過去7年間にその再生計画認可決定確定日がある場合には,免責不許可事由となります。

 もうひとつは、小規模個人再生・給与所得者等再生におけるいわゆるハードシップ免責の許可決定が確定したことです。過去にハードシップ免責許可決定が確定したことがあり,しかも,免責許可の申立ての日から過去7年間にそのハードシップ免責許可決定の確定日がある場合には,免責不許可事由となります。

4 まとめ

 免責不許可事由の一つである虚偽の過去の免責許可決定(破産法第252条第1項第10号)については上述のとおりです。

 過去7年以内に免責許可決定等を受けていると、免責不許可事由に該当してしまいます。そのため、二度目の破産はできないと考えている方もいらっしゃると思います。破産手続きの中で、再び破産しなければならないような状況にならないよう注意・指導を受けることもしばしばありますし、裁判所での免責審尋の際には7年以内には再度の免責は受けられませんよ、と強調して説明を受けることもあります。

 しかし、二度目の自己破産であっても、内容によっては、裁量免責を受けることが可能です、絶対に自己破産できない、というわけではありませんので、まずは弁護士にご相談いただければと存じます。

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