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免責不許可事由9 管財業務妨害行為2022-11-20 19:00

カテゴリ: 自己破産

 自己破産を検討されている方は、借金の負担から解放され、今後の生活の立て直しを図ることを一番の目的とされていると思います。

 個人の方が自己破産をする最大の目的は借金を免除してもらうことにあるはずです。自己破産をすると、借金(債務)について支払いの責任を免除してもらうことができます。このことを免責といいます。

 厳密には、破産手続と免責手続は別の手続ではありますが、自己破産を検討している方は基本的には両方の手続を行うことを希望されているはずです。

 しかし、自己破産の手続をしたからといって、必ず免責されるわけではありません。

 「免責不許可事由」がある場合には、裁判所に免責を許可してもらうことができないことがあります。

 自己破産をしても免責を受けることができなければ、意味がありませんので、自己破産をするにあたっては免責不許可事由があるかどうかを検討しておく必要があります。

 今回は、「免責不許可事由」の一つである管財業務妨害行為(破産法第252条第1項第9号)について解説します。

1 破産法の規定

 破産法第252条第1項第9号では、免責不許可事由として以下の通り定めています。

 「不正の手段により,破産管財人,保全管理人,破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。」

 破産管財人が職務を行おうとしたときに、違法な方法や、違法ではないとしても正当でないような方法で、破産管財人の職務を妨害する行為が免責不許可事由に該当します。

 暴行や脅迫、騙したりして職務を妨害することは勿論ですが、それ以外にも妥当とは言えない方法であれば、「不正の手段」に該当する可能性がありますし、破産管財人の指示・指導に従わない場合も、その程度によっては該当する可能性があります。

 なお、「偽計又は威力を用いて」破産管財人の職務を妨害した場合には、罪になります(破産法272条。三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金又は懲役と罰金の両方。)

2 免責不許可事由とされている理由

 免責が許可されれば、破産者は借金の支払いをしないでよくなるという大きな利益を得ますが、一方で、債権者は借金を返してもらうことができなくなり大きな損失を被ることになります。

 破産手続では、破産者の経済的な再生を図るという目的もありますが、債権者に対して平等に適切な配当を行うことが主な目的になります。

 上記のような大きな損失を被る債権者に納得してもらうためには、破産手続を適正に執り行い、債権者の利益もできるだけ図るようにする必要があります。

 そのための仕事をするのが、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理、保全管理人代理です。

 それなのに、これらの人の職務を妨害されてしまうと、破産手続を適正に執り行うことが妨げられ、債権者の利益を図ることもできなくなる可能性があるため、上記の破産管財人等の職務を妨害する行為は、免責不許可事由とされています。

3 破産管財人等の職務を妨害したこと

 この免責不許可事由の対象になる行為は、「破産管財人,保全管理人,破産管財人代理又は保全管理人代理」の職務を妨害することです。

 「破産管財人」とは、「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。」とされています(破産法第2条第12号)。

 破産管財人は、裁判所から選任されて、破産者の財産を調査し、管理し、処分し、債権者に対する弁済・配当を行う人のことであり、破産手続において重要な役割を担っています。

 「保全管理人」とは、「第九十一条第一項の規定により債務者の財産に関し管理を命じられた者をいう。」とされています(破産法第2条第13号)。

 破産手続開始決定の前に、破産をしようとする人が財産を隠したり浪費をしたりしていて財産が無くなってしまうおそれが大きいときに選任され、破産をしようとする人の財産を管理します。破産管財人と異なり、財産の処分は行いません。

 なお、個人が自己破産する場合では、保全管理人が選任されることは殆どないと思います。

 上記の破産管財人や保全管理人は代理を立てることができます。ただし、一般的な意味での代理人ではなく、破産管財人や保全管理人の業務を補助するような立場になります。このような人のことを破産管財人代理・保全管理人代理といいます。

 この免責不許可事由の対象になるのは、上記の破産管財人等の職務を「不正の行為」によって妨害する行為です。

 例えば、管財人が引き渡すように求めた財産の引渡しに応じなかったり、管財人が取得しようとした書類を取得できないように邪魔をした場合などは職務の妨害にあたりますし、その他にも、管財人等の職務に協力しない場合には、職務の妨害に該当する可能性があります。

 ただし、破産管財人も人間であり、色々な方がいますので、誤った判断をしたり、妥当でない業務を行っている場合には、正当な反論をすることは考えられます。

 もっとも、破産管財人に選任されるのは法律の専門家である弁護士であり、上記のようなミス等があることはあまり多くはないと思われますし、あった場合にも管財人との議論の中で、或いは裁判所を交えた議論の中で解決されることが通常です。そのため、正当な手段で管財人の職務を妨害する、ということは実際には想定し難いと思われます。

4 まとめ

 免責不許可事由の一つである管財業務妨害行為(破産法第252条第1項第9号)については上述のとおりです。

 破産手続きにおいては、管財人に協力し、適正な手続きが行われるよう心掛ける必要があります。

 ただ、このような行為があった場合でも、破産手続開始に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときには、免責を受けられることもあります。

 自己破産を検討されている方は、自身が上記のような行為を行わないよう注意していただくことは勿論、誤った対処をしてしまわないよう、まずは弁護士にご相談いただければと存じます。

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