ブログ

免責不許可事由11 破産法上の義務違反2022-11-20 21:00

カテゴリ: 自己破産

 自己破産を検討されている方は、借金の負担から解放され、今後の生活の立て直しを図ることを一番の目的とされていると思います。

 個人の方が自己破産をする最大の目的は借金を免除してもらうことにあるはずです。自己破産をすると、借金(債務)について支払いの責任を免除してもらうことができます。このことを免責といいます。

 厳密には、破産手続と免責手続は別の手続ではありますが、自己破産を検討している方は基本的には両方の手続を行うことを希望されているはずです。

 しかし、自己破産の手続をしたからといって、必ず免責されるわけではありません。

 「免責不許可事由」がある場合には、裁判所に免責を許可してもらうことができないことがあります。

 自己破産をしても免責を受けることができなければ、意味がありませんので、自己破産をするにあたっては免責不許可事由があるかどうかを検討しておく必要があります。

 今回は、「免責不許可事由」の一つである破産法上の義務違反(破産法第252条第1項第11号)について解説します。

1 破産法の規定

 破産法第252条第1項第11号では、免責不許可事由として以下の通り定めています。

 「第40条第1項第1号,第41条又は第250条第2項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。」

 破産法で定められている義務に違反する行為をした者にまで免責を与えるべきではないことは言うまでもないと思います。そのため,免責不許可事由とされています。

2 破産法第40条第1項第1号の義務

 破産法第40条第1項第1号では、以下のとおり定められています。

 「破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは,破産に関し必要な説明をしなければならない。」

 破産管財人等に対しては、破産に関する必要な説明をしなければならないというもので、破産者の説明義務と呼ばれます。

 破産者は、破産管財人等から、破産に至った経緯・原因、財産状況に関する説明を求められた場合には、回答する義務があります。これに回答しない場合には、免責不許可事由となります。

3 破産法第41条の義務

 破産法第41条は以下のとおり定めています。

 「破産者は、破産手続開始の決定後遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。」

 重要財産開示義務と呼ばれるものです。

 破産者は、自身が所有している不動産、現金、有価証券、預貯金等裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出して、重要な財産を開示しなければならない義務を負っています。

 大阪地裁では、自己破産申立の時点で、申立書に財産目録を添付して提出しますので、破産手続き開始決定後に財産に変動がなければ改めて提出することは求められませんが、裁判所や破産管財人から新たな財産の開示などを求められれば、それに応じる義務があります。

 この重要財産開示義務に違反すれば、免責不許可事由となります。

4 破産法第250条第2項の義務

 破産法第250条は以下のとおり定めています。

 「第1項 裁判所は,破産管財人に,第二百五十二条第一項各号に掲げる事由の有無又は同条第二項の規定による免責許可の決定をするかどうかの判断に当たって考慮すべき事情についての調査をさせ,その結果を書面で報告させることができる。」

 「第2項 破産者は,前項に規定する事項について裁判所が行う調査又は同項の規定により破産管財人が行う調査に協力しなければならない。」

 裁判所は、破産管財人に免責不許可事由の有無や裁量免責をするか否かの判断にあたって考慮すべき事項について調査させることができ、破産者はこの調査に協力しなければなりません。

 免責手続きにおける調査協力義務と呼ばれます。

 破産者が免責に関する調査に協力しなければ、免責不許可事由となります。

5 その他この法律に定める義務

 上記の3つが破産法上の代表的な義務ですが、その他にも破産法で定める全ての義務に違反した場合が、免責不許可事由となります。

6 まとめ

 免責不許可事由の一つである破産法上の義務違反(破産法第252条第1項第11号)については上述のとおりです。

 破産手続きにおいては、正直に事情を話し、何も隠し立てしないよう心掛ける必要がありますし、破産管財人の調査などの協力し、破産法を守って適正な手続が行われるようにしなければなりません。

 自己破産を検討されている方は、上記のような行為を行わないよう注意していただく必要がありますが、ご自身では分からないこともあろうかと思われますので、まずは弁護士にご相談いただければと存じます。

お問い合わせ

リトラス弁護士法人についてのお問い合わせは、お電話またはこちらのお問い合わせページからお気軽にお尋ね下さい。

0120-489-572

受付時間:平日9:30~18:00

メールでのお問い合わせはコチラ