弁護士に依頼をして、債務整理を行おうとする場合には、弁護士に債務の内容、収入の状況その他の状況を分かってもらう必要がありますので、まず、弁護士に法律相談を行う必要があります。
それだけではなく、弁護士に債務整理を正式に依頼しようとする場合には、原則として、必ず、直接弁護士と面談をしなければなりません。
このような直接面談を行う義務については、弁護士会の規則等で規定されています。
やむを得ない事情がある場合には例外も認められますが、基本的には弁護士の事務所を訪問していただくか、それが難しい場合には出張相談を行っている弁護士もいますので、どうしてよいか分からない場合には、その点も弁護士にご相談いただいたほうがよいと思います。
今回は、弁護士に相談を行う際に、持参(準備)していただくべきもの、お話しいただくべき内容について、解説します。
1 相談時に持参すべき書類について
⑴ 相談時には、以下のものはご持参いただいたほうが良いと思われます。
① 身分証明書
運転免許証、保険証、パスポートなど本人確認ができるものが必要になります。
② 印鑑(認印でもOK。シャチハタは不可。)
委任状や委任契約書を作成する際に必要になりますので、ご持参いただくべきと思います。
夫婦で、同じ弁護士に依頼する場合には、夫婦一人ずつ別の印鑑を準備していただいたほうが良いと思われます。
③ 借入先等の一覧表(又は借入の総額や借入先が分かる資料)
借入先に関してわかる範囲で結構ですので、いつ、どこから、どのくらい借りて、どのくらい残っているか等をまとめたうえで、相談いただいたほうが良いと思われます。
お手元に、借入時の契約書や、借入先に借りた際の入金明細、ATMなどでの返済時の明細書、金融業者からの請求書(内容証明郵便や督促状を含む。)や返済予定表などがあれば、それらもご持参いただければと思います。
④ クレジットカード等のカード
特に、クレジットカードはすべてご持参いただいたほうが良いと思われます。
⑵ その他、相談の際には、今までの経緯、現在の生活の現状をお伺いすることになるかと思いますので、手元にある限りで、できるだけ多くの資料をご持参いただいたほうがよいと思います。
① 収入に関する書類
給与明細書(最近3か月分程度)、源泉徴収票、所得証明書等
② 支出に関する書類
家計簿、家計口座の預貯金通帳、すべて(現在利用しているものだけではなく)の預貯金通帳等
③ 財産に関する書類
資産をお持ちの方は、お持ちの資産の内容が分かる書類をご持参いただいたほうが良いと思います。
以下のものはできるだけお持ち頂いたほうが良いと思います。
・ 不動産の最新の登記簿謄本(不動産をお持ちの方)、固定資産税評価証明書
・ 保険証券・解約返戻金証明書(生命保険に加入されている方)
・ 退職金の額が分かる資料(現在お勤めで、お勤め先に退職金の制度がある方)
退職金見込額も資産になります。
・ 車検証等(車をお持ちの場合)
2 相談の際に話すべき内容について
整理したい債務の内容については勿論、現在(及び今後)の収入の状況、現在持っている資産の内容、これまでの職歴をはじめとする生活歴、借金が増えて行った経緯、どのような債務整理を望まれているかをお話しいただいたうえで、どのような債務整理を行うことが適切か、ご相談いただければと存じます。
ご相談時には、弁護士がご相談者様から伺った内容、確認した資料をもとに、ご相談者様にとって最も適切な方法を提案させていただきます。
ご自身にとって都合が悪いように思われる事情(むしろこのような点は正直にお話しいただいたほうが、今後の対応策をしっかりと考えることができますので、最もお話しいただくべき内容であることが多いです。)も含め、すべての内容をお話しいただいたうえで、できる限りの資料をお持ちいただいていれば、よりよいご提案ができるはずです。
もっとも、記憶があいまいになっていたり、相談時には全ての資料を揃えられないこともあるかと思います。
そのような場合には、面談時に、そのような事情も弁護士にお伝えいただいた上で、ご相談いただければよいと思います。
いずれにせよ、債務整理を検討されているのであれば、できる限り早期に弁護士にご相談いただいたほうが良いかと思われますので、資料の収集ばかりにこだわるのではなく、まずはお気軽に弁護士宛てにご相談いただければと存じます。