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個人再生の成功率2022-10-31 22:00

カテゴリ: 個人再生

 大阪市西区西本町の法律事務所、リトラス弁護士法人の弁護士の山下翔です。

 今回は、借金を減額するために行う債務整理である個人再生について、その成功率について、解説したいと思います。

 個人再生をして、再生計画の認可を受ければ、借金を圧縮することができます。

 なんとか無理をして借金を返している状況に苦しんでいる方も、個人再生に成功すれば、無理なく借金を返済していくことができます。

 個人再生を検討している方にとって、その成功率は非常に気になるものだと思います。

1 個人再生の「失敗」について

 個人再生が「失敗」するというのは、以下のような場合が考えられます。

① そもそも個人再生自体が認められない場合

➁ 個人再生手続きが廃止となる場合

③ 再生計画が認可されない場合

④ 再生計画の不履行により再生計画の認可が取り消される場合

2 そもそも個人再生自体が認められない場合について

 借金総額(無担保の再生債権の額)が5000万円を超えている場合や、不誠実な申立等の申立棄却事由(民事再生法25条各号)に該当する場合、再生手続の費用を支払わない場合など、個人再生手続を利用する要件を充たしていない場合、再生計画認可の見込み(履行可能性)が認められない場合には、個人再生の申立てが棄却又は却下されてしまいます。

 司法統計(民事・行政令和元年度 第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所)によると、令和元年の小規模個人再生の既済事件数は12,628件で、棄却又は却下で終結した事件は32件、取下げで終結した事件は355件、給与所得者等再生の既済事件数は851件で、棄却又は却下で終結した事件は4件、取下げで終結した事件は55件です。

 棄却又は却下で終結した事件は全体の0.3%未満であり、弁護士に依頼した上で個人再生自体が認められないという事例は非常に稀ではないかと思われます。

3 個人再生手続きが廃止となる場合

 個人再生手続きが開始したとしても、裁判所の決定により、目的不達成のまま再生手続きを打ち切られる(廃止)こともあります。

 提出期限までに再生計画案を提出できなかった場合、再生手続き開始決定後に支払不能のおそれがないことが判明した場合、裁判所の命令や法律上の重大な義務に違反した場合、財産目録への不記載や不正記載など財産隠しが発覚した場合には手続きが廃止される可能性があります。

 司法統計(民事・行政令和元年度 第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所)によると、再生手続廃止で終結した事件は小規模個人再生で312件、給与所得者等再生で16件です。

 再生手続廃止で終結した事件は全体の約2.4%であり、弁護士に依頼した上で再生手続廃止で終了したという事例は稀ではないかと思われます。

4 再生計画が認可されない場合

 個人再生手続が開始したとしても、再生計画が認可されない場合には、結局、借金が圧縮されず、個人再生を申し立てた意味が無いので、「失敗」と言えると思います。

 再生計画を遂行する返済能力がないと判断された場合、再生手続や再生計画に補正できない法律違反があった場合、再生計画上の返済総額が法律で定められた弁済額を下回っていた場合、住宅資金特別条項を利用する旨を申述していたのに再生計画にその定めがない場合などには再生計画が認可されないことがあります。

 司法統計(民事・行政令和元年度 第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所)によると、再生計画不認可で終結した事件は小規模個人再生で41件、給与所得者等再生で1件です。

 再生計画不認可で終結した事件は全体の約0.3%であり、弁護士に依頼した上で再生計画不認可で終了したという事例は非常に稀ではないかと思われます。

 ただし、再生計画開始後に勤務先や得意先が倒産して収入確保の目途が立たなくなった場合なども不認可になるため、このような場合には不認可による終了は避けられません。

 それでも、法律違反により不認可となることなどは、弁護士に依頼していれば、防ぐことができると思います。

5 再生計画の不履行により再生計画の認可が取り消される場合

 再生計画が認可された後は、計画に従った返済をしていくことになりますが、想定外の事情の変化によって、再生計画の通りに履行できなくなってしまうこともあり得ます。

 再生計画の不履行があると、債権者からの申立人によって、再生計画が取り消されることがあり、この場合には圧縮された借金が元に戻ってしまうことになります。

 ただし、「再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは」、リスケジュールできることがあります。

 また、既に再生計画に定められた返済金額のうち4分の3以上の金額を支払い済みであること等の要件を充たせば、残りの借金の返済について免除(ハードシップ免責)を受けることもできます。

 司法統計(民事・行政令和元年度 第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所)によると、再生計画取消しの事例は一例もありませんでした。

 なお、現在までのところ、当事務所で扱った事件では、上記のような「失敗」となった事例は一例もありません。

6 最後に

 今回は、個人再生が失敗する場合の概要と成功率についてご説明しました。

 民事再生法その他の法律を知らなかったり、誤解をしたために、十分な主張や証拠の提出ができなかった場合などには、裁判所は申立てを棄却することもあります。

 個人再生手続きが開始したとしても、廃止となる場合、再生計画が認可されない場合、また、再生計画の不履行により再生計画の認可が取り消される場合もあります。

 個人再生の申立てをした方がよいか、どのようにしたら個人再生の申立てや再生計画の認可が得られるかなどの相談については、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 当事務所でも、個人再生手続に関するご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問合せいただければと存じます。

大阪市西区西本町の法律事務所 リトラス弁護士法人 

弁護士 山下翔

 

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